2004年 06月 08日
信州を訪ねて。 |

佐久に住むお客さまのお言葉に甘え、5月のある日、信州に行ってきました。
爽やかな新緑ドライブになるはずが、その日はちょっと淋しい曇り空。けれど、「おそば、打ってますから」との電話の声に気持ちはパッと明るくなって、クルマは佐久の田畑の広がるのどかな道を駆け抜けて、まんまとお昼に間にあってお家に滑りこんだのでした。
春が遅く来る信州の、5月はまだ山菜の盛り。
東京近辺では、もう会えなくなったたらの芽や
新鮮なわらびや三つ葉、そして独特の細い筍など、
どれもお店やさんのものではない、瑞々しくて心にやさしい里の幸。
そして、手打ちの十割そばの、何より贅沢なおもてなしにひとしきり感動したあとに、小さなお嬢さんを含めたご家族とお宅からあまり遠くない、寺西将樹さんの工房を訪ねました。
いつも、繊細なガラスのうつわを作ってくれる寺西さんの工房は、かつて北国街道の宿場として栄えた
海野宿の、昔の面影を残す町並みの中にありました。その歴史を物語るように、町の端の白鳥神社に
たたずむ、樹齢700年を超すけやきの大木。傍らをゆったり流れる千曲川。時間までも緩やかに感じさせる風景が心をほっと和ませます。
寺西さんと、同じくガラス作家の奥様、川尻真紀子さんの営むガラス工房「橙」も、町並みになじむたたずまいの旧家。入ってすぐのスペースは、ふたりの作品を置くショップ。どこか懐かしい匂いの空間に、ガラスたちがよく映えます。ちょっとレトロなサンデーグラス、見たことのない新作のグラスたち。ところ狭しと並べられた作品に、お店やさんゴコロが騒ぎます。
せっかくだから。なかなか来られないのだから、と心の中で言い訳しながら、あれもこれもとちょっと欲張りに注文してから、お仕事場の見学に。年に2度ほど火を落とすだけで、ずっと赤く燃えたままの大きな窯。そのまわりに、使い勝手良くいろいろな道具が並んでいます。ガラス作りは、瞬間芸。熱いうちに、丸めて吹いて切ったり擦ったり、また、モールなどの細工をするときはそれぞれの型に押しつけてから、また吹いて。流れるような手際よい動作に、ほれぼれと釘付けになってしまいます。
忙しい時期なのに、呆然と見つめるわたしたちが納得するまで、何度も実演してくれた寺西さん。
ありがとうございました。長々とおじゃまして、涼風の吹き始めたころ風鈴をひとつおみやげに買って、工房を引き上げました。お願いしたガラスたちはいつ届くかな?遥か信州の工房からの到着がたのしみです。
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by utsuwa-party
| 2004-06-08 18:32