
今日は、浄法寺の鈴木健司さんが来てくれました。
明治大学での「ときをつなぐ漆」の催しをおとといで終え、せっかく東京に来たからと「昨日,上野の美術館に行ったら月曜で休みで、銀座に出て『川喜田半泥子』を見てきました」。
そして、きょうはPARTYと民芸館に立ち寄って、岩手に帰るとのこと。
「浄法寺,雪が多いんじゃないですか?」と聞くと,以外にもあちらは寒いけれど雪は少ないそうです。
去年の秋,浄法寺の「滴生舎」を初めて訪ね、さまざまな作り手の作品が並ぶ中で一目惚れした鈴木さんのお椀。その深い朱の色の魅せられて、後日、電話でお願いし、暮れに晴れてPARTYの常設に加わりました。でも鈴木さんとはお目にかかっていなかったので,今回の催しで会えるのをたのしみに行ったのですが、時間もなく慌ただしくご挨拶しただけにとどまり,ちょっと心残りだったのです。
なので,今日の来訪は嬉しく、いろいろとお話を伺った挙げ句、夏には「漆掻き」の見学に行かせてもらうお願いまでしてしまいました。
漆掻きを会津の谷口吏さんに師事した鈴木さん。いまも,年に何度か浄法寺を訪れる谷口さんに「叱られてばかり」と言うけれど、じつは先日,谷口さんもPARTYに来てくださって、鈴木さんの漆掻きを「手際良いから、見ていて気持いいですよ」と誉めていたのでした。
それを鈴木さんに伝えると「誉められたことなんてないですよ」と、少し照れた顔。
漆掻き職人であり,塗り手である鈴木さん。6月から10月頃までの5ヶ月間は漆掻きに専念。残りの時間で塗りをやるので、作れるのはお椀で50〜60個。作品を常時置いているのは滴生舎と、年に一度の銀座松屋での浄法寺漆器の催しだそうですが,概ね滴生舎で売れてしまうということで、あの遥かな山里に漆器を求めて訪れる人が、それだけ多くいるということに驚きました。
不況の中で厳しい漆器業界にありながら、若い作り手も増えて「浄法寺は盛り上がっているんです」と、谷口さんもおっしゃっていたっけ。頼もしいことだと思います。
もうひとつ驚いたのは,鈴木さんが東京のお店に作品を置くのはPARTYが初めて,と伺ったこと。こんなに素敵なお椀なのに!何だかちょっと嬉しくなりました。
みなさん、東京で鈴木さんのお椀があるのはPARTYだけですよ〜〜。
お話をして見送って、また鈴木さんの写真を撮らせていただくのを忘れました。
というか、ちょっと撮らせてください、って言うの、照れくさかったな。
浄法寺の人たちは、近隣の大野村で生地を引いてもらう人が多いけれど、鈴木さんの生地は茨城の本間健司さんが挽いているそうです。本間さんは、漆芸家 本間幸夫さんの息子さんで、漆掻きの研修生として浄法寺にいたこともある人。国産漆の魅力を知り抜くふたりのコラボです。
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