2009年 12月 09日
タイマグラばあちゃん、観てきました。 |

レイトショーでタイマグラばあちゃんを観てきました。上映館のポレポレ座やいせフィルムと昔から少しご縁があっていつもご案内をいただくのですが、5年ほど前,この映画が初めて上映されたときには気にも止めませんでした。それを急にどうしても見たくなったのは、タイマグラの住人、桶正の奥畑さんと知り合ったから。とは言え、ミニシアターでの上映終了後は自主上映というドキュメンタリー。レンタルDVDもなく、次に巡り会うのを心待ちにしていたのですが、この秋,タイマグラを舞台にした澄川嘉彦監督の第2弾「大きな家 タイマグラの子どもたち」の封切りを機に,1週間だけのレイトショーとなったのです。
日本でいちばん最後に電気が通ったという岩手のタイマグラ。早池峰山に抱かれた奥地に、戦後、開拓で入り,仲間が次々麓に降りて夫婦ふたりきりになったあともそこに暮らし続けた「マサヨ」おばあちゃん。その晩年の15年に渡る記録がこの映画です。
ゆたかであるとともに,厳しい自然とともにあるタイマグラ。昭和の終わる頃、電気が来たと言うものの水道はなく、とうとうと流れる沢の水が生活水です。真冬の冷たい川で粉にするためのジャガイモをさらし、畑で取れた大豆を洗って大量の味噌を造り、春ともなれば休むことのない農作業の日々が始まります。麓には「便利な暮らし」があるというのに、おじいちゃんが亡くなったあとも,おばあちゃんはタイマグラで変わることなく昔ながらの暮らしを続けます。
気負うことなく淡々と、それを当たり前のこととして「極楽だ」と微笑みながら、何を羨むこともなく、苦にすることもなく、厳しいときもおだやかなときもタイマグラの自然と寄り添い暮らします。
その姿はしっかりと大地に足をつけた人間の力強さと生命力を感じさせ、いまを生きる私たちのひ弱さを痛感させます。「便利な暮らし」と引き換えに私たちが失ったものの大きさを、また思い知る映画でもありました。
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by utsuwa-party
| 2009-12-09 19:01