2009年 12月 04日
南部桶正さんの寿司桶が届きました。 |
岩手の南部桶正奥畑正宏さんと秋田のガラスの伊藤嘉輝さんが、昨日、連れ立って来てくれました。
明日から始まる日本民芸館展に去年に引き続き揃って入選し,その講評会に出て来た帰りです。
今年は松本クラフトフェア、岩手のどんぐりころころクラフト市、そして大阪 堺の灯しびとの集いと3回顔を合わせている桶正さん。最後に堺で会ったとき,前から欲しかった寿司桶をオーダーして「来年になっちゃうけれど」ということで、たのしみに待っていたのだけれど、この館展で駒場に来るからと「だいぶ順番を飛ばして」(あ、言ってしまった。)大急ぎで作って持って来てくれたのです。
寿司桶は柴田商店の飯切りを持っているけれど、いつも作る分量の3合から4合を混ぜるには小振り。それで気持よく、ごはんが飛び散る心配なく飯べらを動かせるサイズが欲しかったのです。
通常,作っているサイズは尺か尺2寸を言うことでしたが「尺1寸(約33cm)も作れますよ」ということで,思い切ってお願いしたのでした。
竹釘を用い,接着剤をいっさい使わず塗装もしない寿司桶は杉の木目が通って凛々しい佇まい。よい香りがプンとして、すぐにでも使ってみたくなります。大きさも「これこれ!」と言いたくなるほどちょうど良く、してやったりと顔がほころびます。
朝から夕方までみっちりの講評会のあと、寄ってくれたふたりにお茶を勧めてしばしおしゃべり。
わたしが桶正さんと初めて会ったのは、奥会津 三島町の工人祭。相棒と漠然と「おひつが欲しいね」と言いながら見て回っているとそこにいたのが桶正さん。
すぐさま手に入れた3合のおひつは、いまではすっかり年季が入って朝の食卓に居場所を作ってます。
山深いタイマグラの里で、こつこつ作った桶を全国のクラフト市に持って歩く桶正さん。
「売れますか?」と聞くと「いやあ,最初は全然だけダメでしたよ。最近かな。クラフト市でちょっと売れるようになったのは」。でも、出会った人があとから注文をくれたり、いろいろなモノづくりの人にも会えるからねと、桶正さんが労をいとわず各地に出向くのは人との出会いをこよなく大切にするからのようです。「いつも,こもって作っているからね」。
松本に風呂桶を持って行ったこともありますよ。それは、事務局に要請されてだったんだけど。当然売れないし,そのあと駒ヶ根のクラフトフェアがあったからそのまま持って行った。
でも、ときどきある風呂桶の注文は貴重な収入源。とくに年末近くになると注文が入ると言います。近くなら自分で運んで取り付ける。遠くなら「送る」。
「送る!」思わず声を合わせて伊藤さんとわたし。
ええ、引っ越し便なら簡単ですよ。神戸まで送ったこともある。
普通に淡々と仕事の話をしているだけなのに、桶正さんと話していると、どこかおとぎ話を聞いているようにほのぼのとして、遠い目になってしまいます。それは奥畑さんの住む、まだ行ったことのないタイマグラに思いを馳せるからかもしれません。
ひとときPARTYで講評会のあとの休憩時間を過ごして帰る奥畑さんと伊藤さんを見送ったあと、ひときわの名残惜しさが残りました。来年はタイマグラにお邪魔します。
奥畑さんの奥さんのちほさんのHP。
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by utsuwa-party
| 2009-12-04 18:57