2009年 11月 06日
大野木工の食器。 |

岩手の大野木工は、ひとつの集団ではなく5つの小さな工房のグループです。どの工房も大野木工の製品を作る技術を持っていて、その時々に応じて分担しながらモノづくりをしています。
ひとつひとつの食器の裏には、大野木工でなく工房のマークが入っています。それは作った職人さんの「責任マーク」なのだそうです。
いまでは全国の保育園や幼稚園で愛用される大野木工の食器ですが、20年あまり前、初めて村内で給食に使ってもらったときには、アルマイトに慣れた子供たちに、たった一週間でぼろぼろに傷つけ破損されてしまったそうです。それを職人さんたちが黙々と修理して給食の場に返し続けるうちにやがて子供たちに「木のものは壊れる。だから大切にしなければ」という気持が生まれ、壊される食器がほとんど無くなったということです
長い年月かかって育った木だから、長く大切に使ってほしい。
その思いで大野木工の人たちは、せっせと使われる現場に足を運び、先生やお母さんの声に耳を傾けながら、つねに改良を重ねてモノづくりをしています。求められればどこへでも機材を持って出かけ、子供たちの目の前でろくろを挽いて見せる「出前教室」をします。どんなふうに木のうつわができ上がるのか、どんな人たちが作っているのか、子供たちに知ってもらうことで少しでも愛着を持って使ってもらえたら、という願いからです。
「採算は合わないけどね」と言いながら、出前教室の話をする中村さんは、嬉しそうに弾んだ声でした。
大野木工の中心である「おおのキャンパス」の工房には、修理を待つ食器がたくさん待っていました。保育園や幼稚園で長く使われ傷んだうつわたちです。修理中の食器を持って説明してくれる工房の瀧音さんもまた誇らしげで嬉しそうでした。
自分たちの作ったモノが、みんなの暮らしの中に溶け込み、信頼され、傷んでもなお、使い続けてもらえる。作り手として、なんて幸せなことでしょう。
大野木工の人たちのそんな笑顔に出会えただけで、はるか青森に近い岩手まで出かけた甲斐があったと思いました。

工房「森の詩」の中村さん。工房の機械は主に手づくりです。


「森の詩」の職人さん。粗取りをしたお椀の木地がたくさん待っています。

瀧音さんは、キャンパス内の工房を一人で取り仕切っています。
ここでは、木工の体験もできます。

修理中のお椀。

林郷(りんごう)亨さんの「みのり工房」のマーク。林郷さんって、木工をされるために生まれて来たようなお名前です。。。

「瀧音工房」のマーク。瀧音さんって、きれいなお名前。音符のマーク、わかりやすいです。

中村隆さんの「工房 森の詩」のマーク。
今回届いた食器は、この3つの工房で作られたものです。

木の食器は熱さが伝わりにくいので、小さなこどもでも手に持って食べることができます。
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by utsuwa-party
| 2009-11-06 21:22