左藤玲朗さんのグラス。 |
ものづくりをする人には色々なタイプがあって、次々に新しいものに挑み、世界を広げて行く人がいる一方、ひとつひとつのものにじっくり取り組み、試行錯誤を重ねて完成度を上げて行こうとする人がいます。
丹波のガラス作家、左藤さんは後者の筆頭だと思います。定番のアイテムは少なく、個展を拝見しても冒険的な試みはありません。いつもの左藤さんらしい作品が、物静かに並んでいます。
行きそびれてしまいましたが、先頃、二子玉川のKOHOROさんで開かれた、個展のご案内にあった左藤さん自身の言葉に、ちょっと感動してしまったので、長いですが引用します。
「今は引っ越してしまった生家の台所の暗い戸棚の奥には、たくさんの器が重ねられていた。色もかたちも材質もばらばらなそれらが、幼いわたしにはとても不思議なものに見えた。いつの間にか身の回りから姿を消してしまったそれらをもう一回取り戻せるような気がして、それで物作りの道に入ったのかも知れない。
だから、わたしのガラスを見た人が、昔、家にもこういうのあった、と言ってくれると、何とも言えない嬉しい気持ちになる。」
寡黙できらびやかさはないけれど、気付くと確かな存在感と温かなまなざしでそこにいる。そんな左藤さんのガラスにひかれます。
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