2007年 05月 20日
青梅の朱文筵工房へ行きました。 |
現代の暮らしの中で使われ、手に、また心に触れてやさしい漆器を目指した、故 磯矢阿伎良氏によって開かれた朱文筵工房。いまはそのお弟子さんであった手塚俊明さんの戸枝恭子さん夫妻に引き継がれているその工房を改築し展示会を開くとのご案内をいただいて、ぜひ伺ってみたいと思ったのです。
わたしが初めて、日々のうつわとして漆器を使ったのが手塚さんのお椀。そのやわらかな手触りと静かな存在感に魅せられたのが、漆の催しを開くことにしたきっかけでした。そのとき訪ねた工房に、7〜8年ぶりの懐かしい再訪です。
細い道を下ったところにひっそりと佇む工房は、うっそうとした緑に包まれ、草花好きな人なら、家に辿り着くまでにすでに魅了されてしまいそう。大きな漆の古木が「いま、子孫を残そうとしている」と手塚さんが教えてくれるようにあちらこちらに若い漆の木が育っています。
多摩川の際に建つ朱文筵工房。訪れる人を圧倒させる緑と渓流の風景を背景に、素晴らしい展示室ができていました。
人の手に渡ったものもお借りして、集めたという今回の展示。どのうつわも、氏の志を映して温かみあるかたちや洒落た装飾に魅せられます。
大きな暖炉のある応接室もまた展示に使われ、片隅にあるピアノとチェロに目をとめると磯矢先生が弟子たちにリズム感を大事にせよと楽器を与え、漆の修業の後は演奏の時間だったと手塚さん、戸枝さんが教えてくれました。協調性を大切にということでもあったでしょう、とも。
帰り間際に「お手洗いも見ます??」と、戸枝さん。「手塚が頑張って作ったの」覗かせていただくと、なんと漆の手洗いが!!ロクロを挽いて手塚さんが一心に作った手洗い。棚もまた漆塗りで、シックな空間になっています。いつも、物静かな手塚さんのたのしい遊び心が垣間見えます。
入れ代わりたち代わりのお客さまの合間に、無理を言って工房まで覗かせていただいてそれはそれは贅沢な週末の時間を過ごして帰途につきました。
作品の磨ぎも、漆を溶くのも、ここではこのロクロでやります。
たくさん写真を撮りたかったのに、ドジなことにデジカメが電池切れ。手塚さんたちのお写真と漆の手洗いは携帯でパチリ。ウ〜〜ン残念!!
「磯矢阿伎良展」は、30日まで。0428-76-0323
by utsuwa-party
| 2007-05-20 22:20