藤野の雪。 |

その何日かあと、それを読んでくださったのか、奥さんの祥子さんから一枚のハガキが届きました。文面には、6年前の大雪のとき、青木さんが家の前の山を撮ってカードにしたものだとありました。東京から程近い藤野なのに、モノクロームであることも手伝って、その写真からは荒涼とした冬の寒さが伝わって、青木さんがどれほど厳しい環境にあえて身を置き焼きものに取り組んでいたか、いまさらながら感じました。青木さんは、家までの長い坂の雪掻きに結局1週間もかかったといいます。
でも、そこはまた青木さんがこよなく愛した場所だったことを誰もが知っています。青木さんが亡くなったとき、葬儀に訪れるたくさんの人のため、青木さんが雪掻きをしたその道を藤野の仲間がみんなで草を刈り、掃除をしたと聞いています。
「昨日は藤野のうちの庭で福寿草が咲いているのを見つけました」と、祥子さんは書いていました。青木さんはこれを見つけるといつも嬉しそうに電話をかけてきたと言います。「冬もあと三月だ」と。
青木さん、今年はとても暖かいですよ。もう藤野にもあんな雪が降ることはないかも知れません。
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