焼きものが愉しくて仕方ない。いつもそんな気持ちが伝わってくる小泉さんですが、今回は念願の薪窯を持って、いつにも増してワクワクが止まらなかったに違いありません。
初窯焚きを見に行ったのは暮れの12月29日で、酒器展の作品がほとんどそこに詰まっていると聞き、ゴウゴウ吹き出る炎を見ながら、窯の神さま、火の神さまに祈る気持ちだったのですが、当の小泉さんはきわめて落ち着いた表情で、でも、意外とあっさりしたものがでてくると思いますよと言っていて、無事搬入になった作品はほんとうにあの猛火をくぐったものとは思えぬ何食わぬ顔の磁器たちでした。
不思議だな。
でも、ところどころに薪らしい変化や灰の形跡も見られ、小泉さんが自分の薪窯に親しむうちにまたさらにたのしいものが出来上がって来るのかなと思います。
小泉さんの作品は本人が狙っているわけではないかもしれないけれど、うふふと顔がほころぶものがたくさんあって、これもそのひとつ。
水筒みたいなかたちの、ふたはぐいのみになっていて、それだけで十分ウケるのに、ぐいのみの見込みにはカニや貝の染付けがあって、もう一度、笑顔になってしまいます。
そして、この芸の細かさでこのお値段でいいの?なんて余計な心配もしてしまいます。
余談だけど、このセットはうちの相方も狙ってて、ピクニックにいいな、コルクの栓つけてくれないかな、なんて言っています。まあ、ピクニックには連れて行かないと思うけど。
青花網目手酒筒 径57mm×高さ170mm 8800円