古川桜さんの個展まであと3日。 |
2月、パスタ皿展のあと、奈良へ古川桜さんを訪ねました。
前に訪問した時はお父さまと一緒の仕事場でしたが、今回は庭にかわいらしい専用の工房ができていました。
まだ個展用の作品はほぼほぼなくて「不安になったのでは」と後日メールで桜ちゃんに言われましたが、個展数ヶ月前に作家さんの仕事場に伺って何もないのは慣れていて、むしろそこから会期に合わせて作ってくることにいつも感嘆していたりします。
それより桜ちゃんの工房で目を奪われたのは、ずらりと並んだ白いうつわたち。
わかってはいることですが、染付の人も、色絵の人も、陶芸家は生地からすべて作ります。
上絵付けは一度焼き上げてから行うので、絵付けの前に完成品のような白いうつわが出来上がるわけです。
絵付けのうつわはついついその絵柄や色に目が行って、なかなか造形の部分を見過ごされがちだけれど、こうして目の当たりにすると改めてその技術の高さ、工程の多さに圧倒されてしまいです。

桜ちゃんの生地の完成度は、お父さんの章蔵さんの弟子として生地を作り続けて数年間に培われたものだと思われますが、それでも最初納品してもらったころはかなりばらつきがあったものが数年で大きく進化していて、すごいな、と思います。
4年前、初めて企画展に参加してもらうにあたって、桜ちゃん宅を訪ねた時、お昼をご馳走になりました。うつわはすべて桜ちゃんで、なぜか用意していただいていたお酒の(お昼なのに)ぐい呑は章蔵さん。お料理はうつわとぴったり合って、ため息が出るほど素敵に盛り付けしてありました。
桜ちゃんのお母さまも、もとは染織をされていて、いまは焼きものの可愛らしいお人形やふたものを作られる方。
その陽気なお母さまも交えて4人の食卓では、お箸が転んで失敗だった箸置きなどのエピソードも交えて賑やかに会話が進みます。

窓の外には柳生の豊かな自然とのどかな里の景色がひろがり、庭にはお父さんが丹精した果樹や花木のお庭。
そうか、こうしたふつうの日常が桜ちゃんにとって、学びの場であり、インスピレーションの源なんだなと思いいたったことでした。



