2018年 04月 03日
八田亨さんの仕事場を訪ねて。 |

八田亨さんの仕事場を訪ねたのは、お正月の酒器展を終えた2月の初め。
土地勘のない大阪で電車を乗り継ぎ、心細くたどり着いた「泉北高速鉄道 泉ヶ丘」という駅で八田さんと無事合流。まず連れて行ってもらった薪窯のある工房は、驚いたことに陶芸教室の一角でした。
大学時代、ゼミで陶芸を学び、卒業制作で茶碗1000個を作ったという八田さんは卒業後、舞洲陶芸館に研修生として入ります。舞洲陶芸館は大阪港の開発で大量に掘り出された粘土を焼きものに生かそうと作られた施設。ここで週の半分は陶芸教室の講師として、半分は自分の制作に取り組みながら2年間を過ごしたのち、縁あっていまの陶芸教室に移ります。
そして、なんとそのわずか2年後の2003年、オーナーが別の事業をはじめるにあたり、20代半ばにしてこの陶芸教室を引き継ぐことになったそうです。
以来、陶芸教室のオーナーでありつつ、作家としての仕事に取り組む日々。
八田さんにはお弟子さんがいる…と聞いたことがありましたが、じつはそうではなく、この陶芸教室のスタッフたちが仕上げから荷造り、伝票書きなど雑多な仕事を引き受けて、八田さんをバックアップしているわけでした。
その陶芸教室の外のスペースに屋根を付け、いまの八田さんの仕事に欠かせない穴窯を作ったのが2004年。好きな伊賀焼の窯を手本にした、独学の築窯でした。
焚く行為が好き、と言う八田さん。
ほぼ月に一度のハイペースで焚かれる窯には、300~400点の作品が詰められ30〜36時間をかけて焼き上げられるそうです。
その渾身の穴窯をあとに、次に案内してもらったのが、去年新築なった素敵なお宅。富田林市の「重要伝統的建造物群保存地区」の一角にある家は、その町並みに合わせて木造瓦屋根の美しい佇まい。
ロクロから素焼きまでの仕事はここで。
八田さんのポットと初期の作品であるお湯のみでコーヒーをいただきながら、4月の個展に向けて取り留めない話を交わした午後のひとときでした。
by utsuwa-party
| 2018-04-03 21:56