2018年 01月 11日
芳賀龍一さん。 |
土と四つに組んだような気概のある佇まい。なんか、すごい作り手がいる。芳賀龍一という名前からして性根の据わった孤高の作り手に違いない。
と想像しながら個展には行きそびれ、そのうちあちらこちらでその作品に出会うことになったからますます気になり、ようやく芳賀さん、その人に会えたのは去年の春の陶器市。
事前に、銀座のFragileさんから「少年みたいな人ですよ」と聞いていたから、取っ付きにくい孤高の陶芸家という先入観は解けていたけど、実際会った芳賀さんはどこから見ても大学生の(30才過ぎだけど)気が抜けるほどやさしげな男の子でした。
とはいえ、やっぱりこだわりは人一倍で、薪窯を自己流で作る。土を掘ってくる。制作にあたって近道とはわかっていてもやってはいけない(やりたくない)ことがたくさんある。
他の人にはわからないこだわりがたくさんあって、他の人にはわからないピンポイントの何かを求めて、一途に、黙々と仕事に励む人なのでした。
ところで、陶器市で買った芳賀ちゃんの(なぜ、会って間もないのに芳賀ちゃんと親しげに呼ぶかというと、彼の家が益子の伊藤叔潔さんの近くで、夏にバーベキューさせてもらいに行ったとき、拉致して合宿のように深夜まで語り合ったりしたからですが)ぐいのみは、お酒が漏りました。
土味を生かしたぐいのみが漏ったり浸みたりすることは珍しくなく、少し試しただけではわからないことも多く、使って初めて気づいたりします。その筆頭は大御所村木雄児さん。酒器展を始めて間もないころに「漏りますが」と指摘すると「使ってうちに止まるからさ」と大物なひとことで一蹴され、ぐうの音も出なかったわけですが、確かに止まるものもあり、村木さんの粉引きなど止まるころにはお酒をたっぷり吸って赤ら顔になりいい味出してたりするのですが、てこでも止まらないものもある。
「そんなのボクの持ってるのなんて大半そうですよ」って、これまた強者の使い手、ともしこくんなどは言い、たしかにうちもおかげでテーブルがべたついてぐいのみが取れなくなること日常茶飯事。
でも、それでいいのだという酒飲みばかりじゃないし、と芳賀ちゃんに一応「漏ったよ」と報告すると、え、ホントですか?!!と想像以上にショックを受けて「今度取り替えます」と言うから、だだ漏れじゃないからわたしはいいよ、と言うのだけれど後日、ちゃんとテストしたというのを持って来てくれるのです。でもわたしは前のが気に入ってるからいいよということで、居合わせたともしこくんが買って使ってみるとこれが漏る。で、またそれを報告すると「マジですか!!テストしたのに」とまたまたショックを受ける芳賀ちゃん。
そういう彼をみんな好きになり、漏っても笑えてしまうのですが。
そんなこんなで、酒器展までに土を根本的に見直しますと言ってくれ、わたしはそれを気にするあまり彼らしい味がなくなってもな、と思っていたわけですが、届いた作品は変わらぬ奔放さ。さて、漏る問題は解決したか。
と言うか、初日にみんなで「酒器は漏ってもいいか問題」を話し合ってみたいものです。
by utsuwa-party
| 2018-01-11 16:36