引き続き、青木さんのこと。 |
日が落ちれば漆黒の闇になる藤野の山あいの道に延々と停められたクルマの列が、青木さんの愛された人柄を忍ばせました。雪が降るとすぐに閉じ込められてしまう、青木さんの仕事場までの長い下り坂を降り、列に並んで焼香台に向うと、あの人なつこい、引き込まれるような笑みを浮かべた、いまよりちょっと若い青木さんの遺影が迎えてくれました。
ほんとうにあの勢いのある、話出すと止まらない青木さんの声がもう聞けないなどと、とても信じられません。
ほんとうに悔しく寂しい、けれど、きっとそれがあと10年先でも、20年先でも、青木さんはつねに道半ばであり、私たちはいまと同じようにまだまだこれからだったのにと悔やみ惜しんだのかもしれません。
美しいうつわ、味わいのあるうつわを作る作家さんは数多くいても、渾身という言葉をを感じるうつわを作る人を、わたしは青木さんをおいて知りません。
親しみ愛した仕事場で窯出しをしながら、たくさんの夢を抱いたままに逝った青木さん。それはきっと青木さんにとって幸せなことだったのだと考えることにしようと思います。