土井善男さんのお皿。 |

「土井さん、これイッチンですよね!」
取り皿展の搬入日。届いた土井善男さんのリム皿をなにげなく眺めてて、突然驚き、電話をしてしまいました。
イッチンは、スポイトや注射器のようなものに土を入れ、うつわの上に絞り出して線模様を付ける技法です。これが、細い先から旨く出なかったり、反対にぼってりしたりとなかなか難しいらしい。
だけど土井さんのこのイッチン。リムに溶け込むように微かだけれど、よく見るとそれはそれは繊細な線で細かに描かれていて「うわ〜、これは大変な手間ひま」と釘付けになってしまったのです。
手間をかけつつ主張しない奥ゆかしさ。そうして作られたお皿の上品さ。
なんて興奮したわたしの電話に出た土井さんは、いつもながらの京都弁で「いや、ちょっと細かいことやってみようかと思って」と、いたって気楽な声でしたけど。
リム皿は、緑白釉というマットで落ち着いた質感。
ほかのお皿は、乳白釉。ぽってりとかかった釉が、上品さに温かさを添えています。

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