村木さんの小さなピッチャー。 |

20年近くうつわやさんをやってきて、いつも企画展の搬入の荷解きはワクワクだけど、今回のちいさな片口、ピッチャー展ほど、終始、ひとりで「かわい〜」と声を上げたり、にまにま笑ってみたりしていることはなかったかも知れません。
今日、2箱届いた村木雄児さんの荷物。1箱目を開けると人気の豆片口が山ほど。酒器になる小ぶりの片口もいろいろ。お〜嬉しい。2箱目をあけると、ん!小さなピッチャーたちがぎっしり。
村木さんの、取っ手の付いたピッチャーなんて見たことあったかな。
「片口とピッチャー」と頼んでおいて無責任だけど、村木さんにお願いしたときには片口しか想像できていなかったのです。
長いおつきあいだし、大好きな作家さんだから、ついついいろいろな催しにお願いしてしまう村木さんですが、時おり思わぬトライをして驚かせてくれます。
お湯のみをお願いしようと頼んだお茶のうつわの催しではポットにトライ、朝ごはんのうつわでは四角いお皿にトライ、そして、今回はピッチャーに。どれも初トライではないにせよ「いつもは作らない」うつわたちです。
今回のピッチャーを見てにんまりしてしまったのは、まさに青木亮さんが村木さんを評して言った「へたうま」の顔をしてたから。ぽってり重くてバランスも良くなくて、だけど、なんとも朴訥で悪気のない表情をしてて、どうにも気持がへなへな脱力して、微笑んでしまうのです。
無心に粘土遊びをするように、かたちを作ったり取っ手を付けたりしている村木さんの姿まで目に浮かびます。
そうして、またほかの人の作品を見て「みんな、うまいなあ。負けたな〜〜」とか言っちゃうのかな。大ベテランのくせに。
そういう村木さんのことを、わたしはしみじみ好きだなあ、なんて思ったりしています。
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