村木雄児さん。 |

じつは、尾形さんとほとんど同じ会話を初日前、村木さんともしてました。
「この値段の違いは何ですか?」「オレが気にいってるかどうか」。
やっぱり。訊くだけ野暮だった。
村木さんがたくさん送ってくれたぐい吞みの、いくつかが他より高かったのです。
今回、村木さんのぐい吞みのほとんどは、去年10月の登り窯の初窯で焚かれたものです。
わたしにとっては初めて参加させていただいた薪窯焚きで、しかもその作品は初窯のお披露目の個展まで封印だと思っていたから、今回の酒器展に出してもらえると知ったときは心の中でガッツポーズ!
粉引き、唐津、灰釉…どれもが確かに村木さんのテイストだけど、なんだかいつもと違う衣装をまとい誇らしげであり、照れくさげでもあり。
初めての薪窯のぐい吞みは、わたしにはそんな風に見えます。釉が半透明に溶け残ったもの、微妙な色の変化が出たもの、いつもと違う発色をしたもの…。手に取ってみると、ひとつとして似たものがなく、どれもが個性的なことに気づきます。
上の写真が村木さんの選んだもののうちの3点。でも、そのほかにも「いいなあ」と引かれるものがいろいろあって、じゃあ、わたしならどれをと考え始めると迷宮に入ってしまいます。

釉がまるでお菓子のアイシングみたいな溶け方をしたぐい吞みたち。昔、こんな釉ができたとき、村木さんの奥さんで陶芸をやっていた典子さんが「砂糖ごろも釉」と名付けたそうです。言い得て妙!
夢見がちな風合いに引かれます。

三島手のぐい吞みだけは、薪窯ではないもの。やっぱり村木さんの三島がないと寂しいね、ということで、年明けに作ってくれました。

黒い片口も薪ではないけれど、ここしばらくの試行錯誤の末、これひとつが村木さんの目にかなってここへ来ました。ほかのは…村木さんの仕事場の庭に捨てられているのをいくつも見ました。
「テカテカとラスターが出ちゃうんだよね」と。
高いハードルを越えたものは、やっぱりかっこいい。

村木さんと言えば、なんと言っても片口が人気ですが、とっくりも秀逸。さすがベテランの力量を感じます。今回はとりわけさまざまな釉とかたちのとっくりがやってきました。
お客さまも、今年はとっくりを求めていらっしゃる方も多く嬉しい傾向。
さてさて、酒器展も折り返し。
皆様お待ちしています!
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