2009年 10月 16日
南部鉄瓶。 |
とびとびの岩手報告です。
さて、大野村と浄法寺を訪ねた翌日は、盛岡へ。
駅からバスに乗り、まず訪ねたのは「盛岡手づくり村」。岩手の工芸品の制作を見学したり体験できる観光施設ではあるけれど、南部鉄器などは本格的な工房が3件軒を連ねて見応えあり、盛岡を訪ねる機会があるたびについ寄ってしまうところです。今回の目当ては鉄瓶をゲットすること。とはいえ、訪ねて気に入ったものがあればの話だったのですが、ちょうど連休で手作り村もおまつり。店先には「掘り出し物」が並べられ、そのひとつの薫山工房で姿かたちに引かれるものを発見!妥協を許さない職人さんに、表面の凹凸の模様が一部「不鮮明」と弾かれたB品でしたが、素人目には何の問題もなく、かたちだけでなく大きさもふたりの我が家にはぴったりです。なにより10500円という値段は魅力。使い方をふたりでとくと聞いた上、鉄瓶はわたしたちの旅の道連れになったのでした。
鉄を1400°から1500°の高温で溶かして型に流して固め、漆や「おはぐろ」で幾重にも表面処理して仕上げるという南部鉄瓶。つるは熱くならないよう、中が空洞になっているなど、ビデオでの解説に見入ればますます使ってみたくなります。手入れが難しいのでは、錆びるのではとなかなか手が出なかったものでしたが、聞いてみれば注意するのは使い始めに何度か湯を湧かして捨てること、そして使うたび水切りをしてふたを取り中を余熱で乾かすことだけ。熱いうちに濡れふきんで拭くと次第に艶が出ると教えていただき、それもまた漆に通じる「育てるたのしみ」を感じます。
そうして、うちに来てひと月弱。使うたびに残さずお湯を切って乾かすという動作は、朝の慌ただしいひとときには一手間にも思えましたが、その通りにしてふたを取ってみると本当にみるみる余熱で乾いて行くさまが南部鉄瓶の底力を感じさせ、毎日うれしく飽きずに眺めています。
市街地からちょっと離れた手作り村は、のどかで美しい風景の中にあります。
連休で賑わっているとは言え、列をなしているのは南部せんべいの手焼き体験だけ。
工房巡りはのんびりです。正面が薫山工房。
手作り村内に移築された南部曲がり家。これを見ていて、伊藤さんたちの「どんぐりころころクラフト市」が開かれている小岩井農場へのバスに乗り遅れた。時間を忘れるのです。
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by utsuwa-party
| 2009-10-16 21:20