長谷川奈津さんの唐津ぐいのみ。 |
たくさんのご来店ありがとうございました!
終わってからでなんですが…、今日は長谷川奈津さんの「じわじわ」と「じわ」のご紹介。
今回、唐津の原土を使った酒器を出してくれた長谷川さん。
そのぐいのみについて事前に相談がありました。
高台を土見せにすると、じわじわとしみてしまいます。米のとぎ汁で煮てみてもやっぱりすぐには止まらないようです。どうでしょう。
酒器展を始めたころ、村木さんのぐいのみも、じつはしみるものがたくさんありました。
ひとつかなりしみるのがわかり、土が粗めのものを選んで水を張って置いて様子を見るとほとんどしみる。どうしたものか。と、村木さんに電話で相談すると、あ、それ、使ってたら止まるからさ。
さらりと言われました。でも、気が小さかったわたしはやっぱりしみるぐいのみを店頭から下げたのですが、そういうぐいのみに限って魅力的で、眺めるほどに惜しくなる。それで、会期後、ひとつ連れて帰って自宅で使うことにしました。
ぺたぺたするね。
と、そのぐいのみで晩酌するたび、相棒は言い、たしかにしみたお酒の糖分で手がべたつく。でも、ぐいのみはいくつもあれど、やっぱり村木さんのぺたぺたを時折使ってみたくなり、懲りもせず使い続けて行くうちに、しみていたことを忘れるぐらい「しみないぐいのみ」になりました。
と、同時に、確かほんの少し赤みがかった粉引きだったはずが、まるで唐津のようなやわらかくあたたかな色に育ち、問題児だったぐいのみがひときわ愛着のあるものになったのです。
なので。
そういうたのしみがあるから、お客さまにはちゃんと説明するのでと、今回、長谷川さんの唐津のぐいのみも出してもらったわけでした。そもそもお酒も酒器も嗜好品なのだから。おもしろがってくれる方に使ってもらえれば。
そうして、搬入された唐津ぐいのみ。そのリストの備考欄に書いてあったのが「じわじわ」と「じわ」です。笑いました。じわじわはおもに粗い原土、じわは唐津の岸岳というところの土。じわじわがじわになって、やがて止まるということです。
…という唐津の酒器が、会期終わっていくつか残りましたけど、やっぱりそういうものに限って味があったりして、PARTYの常設酒器コレクションに入りそうな気配。
じわじわ。唐津の原土に松灰釉のかかったぐいのみ。
いちばん上の写真のものです。
これも、じわじわ。
唐津の原土にりんご灰。
こちらは、じわ。唐津の岸岳に松灰。
松灰釉は釉が流れやすいそうで、削りに苦労するそうですが、流れかけてとどまった釉がガラス質になったり、土との境目に溜まったりして面白い景色を作ります。
これも、じわ。唐津の岸岳にりんご灰。
りんご灰のグレーは時折、見込みに赤みが差してきれいです。
そして、これが、我が家のじわじわ、ぺたぺただった村木さんのぐいのみ。