2014年 05月 13日
東北エモーションの旅。 |
週末、母と東北に行ってきました。
雑誌で見かけて乗ってみたい!と思った全車食堂車の「東北エモーション」。でも、個人で予約するのは難しそう。ということでツアーを探し、1泊2日のコースに出かけることにしました。
母にとっては、去年夏の股関節手術後、初めてのツアー参加です。
昔から旅好きだった我が家。とくにアクティブで若い仲間とよく山へ出かけていた父は、家族にもマメで子供の頃からよく家族旅行に連れて行ってもらいましたが、兄やわたしが家を離れたあとは、母を引っぱり早朝出や仕事のあとの夜中出の弾丸ドライブによく出かけていました。
そんな父が急逝し、しばし悲嘆にくれたあと、母は猛然と行動的になり友だちと海外や日本各地へ出かけたり、年齢的に遠出の仲間が減ると海外はわたしを伴い、友だちとは近場へちょこちょこ行っていました。が、数年前に以前から弱かった股関節が悪化して、去年とうとう手術をし、それ自体は成功したものの、術後、右足首が上がらなくなるというアクシデントがあってから、リハビリで日常生活はなんとかできるようになったものの、旅行はわたしが誘うドライブ旅以外、人に迷惑をかけるからとあきらめていたのです。
でも、東北エモーション。旅好きで好奇心おう盛な母はそそられたらしく、行程もハードでなさそうなので行ってみようかということに。そして、連休の開けた週末、ちょっとどきどきのツアーの日になりました。
お天気は上々。最初のハードルは東京駅の集合。もたつくからと心配する母と普通は3~40分の東京駅に、まさかの1時間半前に出かけたのですが、混んだバスをやり過ごしたり、集合場所が遠かったりでほぼギリギリセーフ。それからまた、延々、ホームまで引き返しての乗車で他のツアー客に大きく遅れをとり、必死の母に「大丈夫、置いてかれないから」と声かけながら、やっぱりツアーは大変だったかと思ったのですが、面白い顔のハヤブサに乗り混み、仙台で配られた「まるごと東北」のお弁当をいただくうちにすっかり気分はポディティブに。
1日目は、宿泊する小牧温泉の青森屋さんに行くだけ。このラクなスケジュールも行く気になった要因。ただ、数年前、東北のお祭りツアーで泊まった青森屋さん。部屋から、温泉、お食事どころと、館内の移動がはげしく遠かったなあ、というのが懸念。はたして着いてみるとやはり記憶の通り。
さらに、母が足が悪い旨を伝え、わざわざ用意してもらったベッドのある部屋は、ものすごく広くて景色も良かったものの、エレベーターから遥か遠く。でも、最初は気後れしていた母もせっかくだからと行ったお風呂があまりに気持ちよかったので果敢に露天風呂にも入り、翌朝ももう一度。晩も朝もバイキングの食事にも何度も果敢にチャレンジ。次第に動きも慣れて来て遠い部屋もさほど苦にならない様子になりました。
ただし、母と行動するときは、まだ2時間ある、1時間あるという安心は禁物。ゆっくりのんびりペースに合わせているうちにあっという間に時間が経ちます。
さて、翌日はいよいよ待望の「東北エモーション」。
乗車前に、菜の花が咲き乱れる蕪島神社というところに連れて行ってもらいました。
ここはウミネコの繁殖地としても知られ、菜の花に負けないぐらいウミネコがいっぱい!人間にも驚くことなく、悠々と暮らしています。神社の石段の脇でじっとしているのは、卵を抱いたウミネコ。
この日はこの辺りのマラソン大会で駐車場が閉鎖になるからと手短な見学でしたけど、どこか微笑ましくかわいらしく、心に残るところでした。
東北エモーションには11時前の乗車。
乗車の前に乗務員の人たちが一緒に記念撮影してくれました。
(母。嬉しそうです)
列車は、一両目がオープンダイニング、次がオープンキッチン、そして、最後がコンパートメント。
今回、ゆっくりしたいのでコンパートメントがいいねと言っていたのですが、申し込んだ時にはすでにオープンダイニングが満席で(海がみえる側にしか乗客を座らせないので、本当に限られた数になるのです)、選択肢なくコンパートメントに。でも、やはりこちらが落ち着きました。
(このふたつの写真、コンパートメントの写真を忘れたので「東北エモーションの画像」からお借りしました)
乗車時から、乗務員の人もキッチンで一心にお料理を作るシェフもみんなにこやかで気持ちよく、テーブルには可愛いランチョンマットにお箸袋、引き出しにはお洒落なケースに入ったカトラリー。わくわく気分がが高まります。
最初にスパークリングのアップルジュース。次からの飲み物もすべて無料です。
ワインは山形の高畠ワインでしたけど、赤白どちらも美味でした。
しげしげとメニューを眺めていると、「うつわ」の項目に、お!柴田さんの曲げわっぱ!
イサダのガレットと昆布のフリットのアミューズが小判弁当で現れました。FBに上げたら、留守番の相棒が、あれ、くれたの?と聞いたけど、くれる訳ありません。そんなことしたらそれだけで東北エモーション、赤字です。
東北エモーションの食事は、食材も、飲み物も、そして、うつわも、ほとんどが地産地消です。アミューズやデザートには、郷土の味が取り入れられて興味をそそります。
前菜は会津桐の箱に入った東北の幸。三陸若布とタコのコンフィ、ワラビを巻いたサーモン、ウニ風味の八戸産の長いも、ホタテなど、新鮮な素材を生かしたさっぱりとした味付けで食が進みます。
そして、長い冬を経ていっせいに咲いた花々、青く透き通った海、そして、道で踏切で海で手を振ってくれる人たち。車窓に流れる風景にもいちいち感激と歓声です。
メインはホロホロ鳥と古代米のロール 黒にんにくソース、ゴボウのフリット、北あかりと山地酪農牛乳のドフィノワーズ。
このころになると、もうあとわずかの行程を思って名残惜しくなります。
食後のプティフールも可愛い箱に、地元の素材の素朴なお菓子が入ってました。
そして、名残惜しくも終点久慈。
大好きだったあまちゃんの町です。
列車から降りて、目の前の「まちなか水族館」を見学。ここは、震災後、久慈地下水族科学館が営業できなくなったため、久慈駅前の空き店舗に場所を移してオープン。サカナくんが応援団長になって、たくさんのお魚をプレゼントしてくれたそうです。小さな水槽が並ぶ、かわいらしい水族館。2階はあまちゃんのコーナーになっていました。そして、目の前にはまめぶやさんが。
が、ゆっくりあまちゃんノスタルジーにひたる間もなくバスは出発!
途中、日本三大鍾乳洞のひとつ、龍泉洞を見学、トイレ休憩に寄った道の駅で、わさびの花とワラビを買い込み、どこまでも続く緑の里山風景に見とれつつ、水芭蕉の群生に歓声を上げ、また所々に残る震災の傷跡に心傷めつつ、帰りの出発地、盛岡に向かったことでした。
そして、母はといえば、最後まで元気。
東京駅に着いたのは10時だったから、タクシーで帰ろうと乗り場に向かう足取りはよれていたものの、無事にツアーをこなして意気揚揚。帰った翌日からタフに家事をこなして暮らしています。
めでたしめでたし。
それにしても、期待以上にたのしかった東北エモーションの旅。またいつか行きたいな。
それまで、廃止することなく運行していてください。
by utsuwa-party
| 2014-05-13 17:36