2012年 01月 24日
田宮亜紀さんに教わったこと。 |
1996年の築窯以来、焼き締め一筋で頑張っている田宮亜紀さん。
ブログで幾度か書いたと思いますが、小柄で華奢で可愛い人なのに、仕事ぶりはいたってオトコマエ。自分が入ってしまうほどの大壺を「売れるかなあ」とか「置き場所どうしよう」とか、全然かまわず(ちょっとはかまっているのかもしれないけれど)どんどん作るし、蓋ものや土鍋も、蓋と身に隙間があっても気にしない、数ものも大きさかたちがいっこうに揃わなくてもへっちゃら。そういう鷹揚にして豪快なところが、田宮亜紀ファンには魅力なのだと思います。
そして、チャレンジ精神旺盛なのも彼女のカッコいいところ。
全部土の色だから目立ちませんが、いつは今回も長谷川さんに負けず劣らす、たくさんのバリエーションを出してくれています。
白い肌のものは信楽の土。
信楽の土は本来ざらざらだけど、きめ細やかに滑らかにするため、今回は磁器土を少々混ぜているそうです。「わたしは気にしないタイプなので、以前は荒いまま使っていたんですけど」、使い手の声を聞いての結果。う〜ん、そうね。口当たりとか、洗う時、スポンジがひっかかる、とか、確かに実際問題、ざらざらの難点はあるかもです。
こちらは南蛮の土。田宮さんが使ってるものは鉄分が多めの赤土で、しっとりとした発色になります。
こちらは炭化。
作品に炭素を沈着させて味わいを出す「炭化」は、作り手によりいろいろなやり方があるけれど、田宮さんの場合、ガス窯に薪を入れます。「窯の中が燻製状態。わたしの場合、赤土は黒くなり、白土はベージュっぽくなります。
緑釉。
あくまで焼き締めにこだわる田宮さんなので釉をかけることはせず、部分的に刷毛で塗って表情を出します。薪窯で、灰が部分的に緑になるのを見て思いついたとか。深い緑がアクセントになってきれいです。
薪窯の作品は、薪の灰と焔が作り出す自然の景色が醍醐味です。
「青く窯変しているのは、その部分にたくさん灰がかかっています。片方だけ赤っぽくなるのは、奥の方でほかのものの影に影にあって赤っぽい箇所に少し灰がかかった感じ」。
田宮さんの場合、薪窯は一週間弱焚くそうです。
「よくこんなに焼く必要ないって言われるけれど、じっくり時間をかけて焼き締めることの意味があるって思ってます」。
一番上のカッコいい酒器も薪窯の窯変。田宮さんのHPにも紹介されているので、彼女もお気に入りだと思います。
ところで、焼き締めはどうもとっつきにくい人が多いらしく、ほかの食器との相性も難しそうに思われがちだけど、むしろ土の自然な風合いだからどんなものともよく合います。
土ものはもちろん、
漆でも、
磁器でも。
使われたことの無い方も、酒器や小さな鉢などならトライしやすいと思います。
ぜひ、お試しあれ。
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by utsuwa-party
| 2012-01-24 17:15